あなたと創るデジタル社会
高度経済成長期には、公共事業としてのインフラ整備が盛んであった。不要な「箱物」を造り続けた失敗については反省し教訓とすべきではあるが、公共事業が戦後の国土にインフラを整備したことは事実である。 今日では十分にインフラが整い、もはやこれ以上の新しい空港やダムは必要ではなく、公共事業に割かれる国費も減少する一方のようだ。しかしICT関連のインフラに目を向けるとどうだろう。自治体や学校の現場は「IT後進国」と揶揄されるような惨状である。 そこで我が国のICTインフラを整備する目的で、公共事業としてオープンソースソフトウェア(以下OSS)に貢献することを提言したい。 (1)ローカライゼーション 高品質ではあるが、UIやドキュメントの日本語化が不十分なOSSが多い。言語以外の面でも、会計ソフトに日本ルールの勘定科目データが存在しないというケースもある。このようなOSSに対し、翻訳などの対応をしてプロジェクトに貢献する。 (2)機能改善・機能追加 一部自治体では MS-Office に代わり OpenOffice/LibreOffice を使用していると聞く。そのような自治体からの要望を基に、改善や機能追加を行ない、成果をプロジェクトに還元する。国内ニーズへの対応がされるという安心感があれば、導入へのハードルも下がるであろう。 (3)官製OSSの開発 自治体や教育機関のニーズに合わせ、新規OSSを企画・開発する。例えば学校での出欠席管理、保護者との情報共有など、採算面の問題で商用ソフトが手薄になっている分野をカバーする。 (4)OSS導入の啓蒙とサポート OSSを導入して活用するための情報を発信する。特に自治体や教育機関を対象に、職員が容易に導入できるマニュアルやFAQを作成・公開する。認知度の低いOSSや、導入事例も紹介したい。 活動によって期待する公益は主に以下の3軸である。 (a)社会的ICTインフラの整備 教育機関、自治体、国民が、社会的ICTインフラの恩恵を受けることで、ICT社会での活動を合理的に。 (b)雇用の創出 在宅勤務が容易な事業であり、地方での雇用、障害者の雇用の創出にも有効。 (c)国際社会への協力 世界的なOSSプロジェクトへの貢献を通じ、ICT先進国としての責任を果たす。現在の日本は貢献が低く、フリーライダーであるとの意見もある。